浙翁如琰筆偈
- 人物
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作者浙翁如琰
- 年代
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制作年 AD13
- タイトル
- セットウニョエンヒツゲ
- 材質・技法・形状
- 紙本墨書
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
浙翁如琰〈せっとうにょえん・1151-1225〉は、南宋時代の臨済宗大慧(だいえ)派の僧。阿育王山(あいくおうざん・中国五山の第五位)の拙庵徳光〈せつあんとっこう・1121-1203〉の法嗣(はっす・師から仏法の奥義を伝えられた弟子)。のち、勅命により径山(きんざん・中国五山の第一位)の住持となり、仏心禅師の号を賜る。道元〈どうげん・1200-1253〉も、入宋して最初に参禅したのがこの人であった。その書は、元代の笑隠大訢〈しょういんだいきん・1265-1344〉が、二王(王羲之〈おうぎし・生没年未詳〉・王献之〈おうけんし・344-386〉)の妙を得る、と評したように、中国の伝統的書法を正確に踏まえたもので、きわめて格調高く、南宋時代の禅林界に傑出した能書であった。偈とは、韻文の形式をとった法語(後人に仏教の道理を示したもの)で、詩偈(しげ)、または偈頌(げじゅ)ともいわれる。これは、七言律詩の形をとり、浙翁が自身の生き方を示したものであろう。ほかに遺存少なく、伝存稀有の遺墨である。「狂夫走り索(もと)めて相い与(とも)に狂う。湖江の吟雨(ぎんう)衣裳を湿す。弄水(ろうすい)の老人膝を屈すべし。痩石(そうせき)の頭陀(ずだ)舌自ら長し。詩巻浮沈す梅艦の上。禅鋒滅没(めつもつ)す水雲の郷。蓑を披(ひら)き槳(かい)を蕩(うご)かす者は伊子(いし)。我が為に舟を維(つな)いで泥嘗(でいしょう)を覓(もと)む。 如琰(印「浙翁」)(印「如琰」)」
狂夫走索相与狂湖江吟雨湿衣裳弄水老人膝可屈痩石頭陀舌自長詩巻浮沈梅艦上禅鋒滅没水雲郷披蓑蕩槳者伊子為我維舟覓泥嘗如琰(印「浙翁」)(印「如琰」)
浙翁如琰(せつおうにょえん)(1151-1225)は中国南宋の禅僧。中国五山の天童山や径山(きんざん)の住持を務めた。径山住持時代には留学した道元も教えを受けている。
本作品は、七言律詩一首。自らを「狂夫」と呼び、本来の禅僧のあり方からはずれてしまい、風流な隠者のように暮らしている様子を描いた自嘲的な内容。
「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊─時空をかける禅のまなざし」展(2023.10 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
狂夫走索相与狂、湖
江吟雨湿衣裳、弄
水老人膝可屈、痩
石頭陀舌自長、詩
巻浮沈梅艦上、禅
鋒滅没水雲郷、披
簑蕩槳者伊子、為
我維舟覓酒嘗。
如琰 (「浙翁」「如琰」)
狂った男 (=私) は一緒に狂ってくれる人を探し、雨ふる湖のほとりで詩を吟じているとすっかり服を濡らしてしまった。この年寄りの坊主は、水と戯れるためなら膝を曲げることもするし、痩せた岩のような姿でべらべらと説教もする。梅見のため船を出して詩を作ったりして、この桃源郷のようなところですっかり禅僧としての鋭さを失った。簑を広げて乾かし舵を操っているそこの舟人よ、私のために船を止めて酒を買ってきてくれないか。
「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊─時空をかける禅のまなざし」展(2023.10 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Buddhist Verse by Zhejian Ruying
物理的特性
- 重量と数量
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員数 1幅
- 付属品
- 外箱(木箱)、説明書3枚、名称札2枚
来歴
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