稚児文殊菩薩像
文殊菩薩は、智慧をつかさどる菩薩として篤く信仰され、古来、釈迦如来の脇侍として、普賢菩薩とともに、三尊形式の仏画・仏像につくられた。また、単独尊としても祀られた。普通、髻(もとどり)を結い、瓔珞・腕釧(ようらく・わんせん・手首につける腕輪)・臂釧(ひせん・上腕部につける腕輪)などの装身具で飾り、条帛(じょうはく・たすき状の布)を着け、右手に智慧を象徴する宝剣、左手には経典を載せた蓮華を持つ。もともとは結跏趺坐の坐像であったが、しだいに獅子の背上の蓮華座に結跏趺坐する姿(騎獅文殊)が通例となる。百獣の王である獅子は、文殊菩薩の智慧が秀抜であることをあらわす。顔貌は、智慧の清純で執着のないことを示す童子形につくる。また、文殊は密教の世界でも重要視され、この場合、髻は真言の数だけ結う。髻の数によって4種に分けられ、一髻は増益(幸せの増進)、五髻は敬愛(和合)、六髻は調伏(怨敵の降伏)、八髻は息災(災難の除去)とそれぞれの本誓をあらわす。このほか、僧形文殊(鎖骨や肋骨が浮き出る老僧の姿で、寺院の食堂の上座に安置される)、渡海文殊(文殊五尊が雲に乗って海を渡り五台山に向かう図像)、縄衣文殊(蒲で編んだ縄目の衣を身につける。禅林で好まれた)、稚児文殊(純粋無垢の子供の姿につくられる)など、さまざまな図像に描かれる。これは、稚児文殊像。稚児文殊は、わが国の中世に成立した特殊な形で、寺院に奉仕する稚児(幼少年)の姿に描くもの。もともと、神霊が稚児の姿をとって降臨するとの信仰が古くからあり、また、文殊の智慧が童子のごとく清純で執着のない素性であるところから、童子形であらわされることがあった。鎌倉時代後期になると、この文殊菩薩の本尊を稚児に代えて礼拝像としてつくることが流行した。神仏習合の所産である。この図像は、優雅な面貌、美しい水干姿、凛乎たる獅子などに、やさしさとたくましさの両面が、見事な調和を示している。現存する遺品が少なく、保存の良い稀有な一幅である。
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Image of Manjusri as a Page Boy
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1幅
- 付属品
- 太巻、巻止
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