初期刊本・中世写本の挿絵と頭文字の切り抜き帖(フィリップ・ギャスケル旧蔵書)

切り抜きは破壊行為/書物愛?
「書物破壊者」を意味する英単語 ‘biblioclast’は、愛書家 ‘bibliophile’ と対極をなすかのようだが、実は書物を求めるがゆえに古書を解体した人たちの例は、古今東西枚挙にいとまがない。本展示の写本零葉もここに展示する切り抜き帖も、書物愛好家/破壊者の手にかかり現在の姿となった。展示ページには整然とアルファベットが並ぶが、これらは16世紀の刊本から切り取られたものである。その典拠は不明であったが、バーゼルの印刷業者ヴァレンティン・クーリオ(Valentine Curio, fl. 1522–34)が使用した、ハンス・ホルバイン(子)による図案の木版イニシャルの可能性が高い。Victoria and Albert Museumのコレクション・データベースに同じものが見出される(Cf. Jennings, pp. 35–36)。
展示書には、他にも挿絵や標題紙の切り抜きが多数貼り付けられている。好みの挿絵やイニシャルを初期刊本や中世写本から切り取り集めたスクラップブックは、19世紀から20世紀にかけて盛んに作られた(展示書no. 20も、そうした「愛好家/破壊者」の仕業かも知れない)。20世紀を代表する書誌学者フィリップ・ギャスケル(Philip Gaskell, 1926–2001)の旧所蔵者である。(ST)
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OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- [Scrapbook of woodcut and engraved illustrations and initials] (olim. Philip Gaskell)
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
初期ローンチ時は、Google Cloud の Vision APIを利用して、各オブジェクトの画像を解析し、自動的にキーワードを付与しています。