洞院実煕筆消息

- 人物
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作者洞院実煕
- 年代
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制作年 AD15
- タイトル
- トウインサネヒロヒツショウソク
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
洞院実煕〈とういんさねひろ・1409-?〉は、室町時代前期の公卿。内大臣満季〈みつすえ・1390-?〉の子。初名は実博(さねひろ)。東山左府と称した。正長元年〈1428〉権中納言、永享2年〈1430〉権大納言、辞官・還任を経ながら、康正元年〈1455〉には左大臣を極める。が、長禄元年〈1457〉辞して出家(法名・元鏡)して東山に閑居した。朝儀典礼に通暁した公卿として有名である。文中の「禁裏両曲」は、宮廷に伝来する秘曲(秘伝の楽曲)を連想させる。応永18年〈1411〉4月26日、伏見宮栄仁親王〈よしひとしんのう・1351-1416〉は、その子・貞成〈さだふさ・1372-1456。のちの後崇光院〉に、宮家伝来の秘曲「皇帝破陣楽(おうだいはじんらく)」「団乱旋(とらんでん)」の両曲が授けられている。貞成の居所(伏見御所)は、当代文化の拠点となり、芸能・文芸が栄えた室町文化の典型ともいうべきもので、宮家伝来のさまざまな名器・秘記類が集積されていたことは十分に想像される。応永26年に彦仁〈ひこひと・1419-70。のちの後花園天皇〉が誕生したころから、こうした秘伝書の後小松天皇〈ごこまつてんのう・1377-1433〉への献納がさかんに行われたいう。この書状は、こうした背景をうかがわせるものである。となると、「実煕上」(実煕たてまつる)の署名から、その宛先は、後花園天皇ではなかったか。謹厳重厚に綴った漢文調の文辞は、漢籍に通暁した実熈の真骨頂ともいうべきである。また、その筆致も堂々とした和様、実熈の非凡の才を示すものである。「御書の旨畏まり承り了んぬ。禁裏両曲御伝授の事、珍重左右能わず候。不堪の質に為て猥に天師に備うるの条、冥鑑と雖も其の恐れに候。斯道の再栄、累家の余慶、歓欣無極、手の舞足の踏を知らざるの処、剰へ厳重の尊章を拝す。弥よ祝着の気味を添え畏まり存じ候。必ず参謝言上仕るべくの由、殊に芳吻を加え洩れ申し入れしめ給うべき哉。十二月十三日、実煕上る。左頭中将殿」
御書旨畏承了禁裏両曲御伝受之事珍重不能左右候為不堪之質猥備天師之条雖冥鑑其恐候斯道之再栄累家之餘慶歓欣無極不知手舞足踏之処剰拝厳重之尊章弥添祝着之気味畏存候必可参謝言上仕之由殊加芳吻可令洩申入給哉十二月十三日実煕 上左頭中将殿
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Letter by Toin Sanehiro
物理的特性
- 重量と数量
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員数 1幅
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