平螺鈿背六花鏡
この鏡は、唐時代盛期の所産。同類の遺品としては、遣唐船が舶載して正倉院に伝世したものが有名だが、そのほかにはわずかな数の存在しか知られていない。鏡の背面に螺鈿や琥珀や宝石などを嵌入した、まことに豪華なものである。まず、鈕を中心に、蝶貝(南洋産の貝)を切り抜いて6弁花にかたどる。さらに宝相華(ほうそうげ=仏教美術における空想的な蔓唐草の文様)などを螺鈿の技法によってあらわす。貝の表面には繊細な葉脈の刻みをほどこし、さらに琥珀やトルコ石などを嵌入している。螺鈿の下地には漆で貝の粉末を微塵に埋め尽くすというように、繊麗な技巧のかぎりをつくしている。盛唐期における王侯貴族の耽美性を遺憾なく発揮したもので、工芸美の極致を示すものである。
美しい宝石や螺鈿を嵌め込んで装飾した鏡。「螺」は巻き貝、「鈿」は金の装飾をさす言葉で、貝殻を光沢が出るまで磨き上げ、文様の形に加工して貼り付ける技法である。唐時代に入ると鏡の制作技術が発達し、銅の鋳造技術に加え、さまざまな工芸装飾が応用された。本作は鈕の周りに6つの花弁を、さらにその外周には宝相華文(仏教美術で特に好まれる空想上の花モチーフ)をあらわしている。さらには、貝の表面に精緻な毛彫をほどこして葉脈を表現しており、中国における高度な宝飾技術をうかがい知ることができよう。
宝飾の材質も多様で、貝殻のほかにも紅く輝く琥珀やトルコ石が確認できる。数少ない類似作例の一つに正倉院蔵品があり、東南・中央アジア原産の装飾素材が使用されているという。本作とは形状および文様が共通することから、具体的な材質分析が期待されるとともに、唐代交易品との関係究明が望まれる。(小松)
文字景 —— センチュリー赤尾コレクションの名品にみる文と象」展(2021.4 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Six-Lobed Mirror Decorated with Mother-of-Pearl
物理的特性
- 重量と数量
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員数 1面
- 材質・技法・形状
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材質 銀色
- 付属品
- 布貼外箱
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
初期ローンチ時は、Google Cloud の Vision APIを利用して、各オブジェクトの画像を解析し、自動的にキーワードを付与しています。