古筆手鑑「武蔵野」
- 人物
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筆伝聖武天皇ほか
- 年代
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制作年 奈良−鎌倉時代(8−13世紀)
- タイトル
- コヒツテカガミムサシノ
- 寸法
- 39.4×29.0
- 材質・技法・形状
- 紙本墨書・絹本墨書等
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
「手」は筆跡、「鑑」は顔を映し出す鏡、あるいは模範の意。よって「手鑑」とは、あたかも鏡を開くように手近に鑑賞できる筆跡アルバムのようなもの。厚手の紙でつくられた折帖に、古人のすぐれた筆跡を貼り込んだものである。室町末期から茶席の床掛に古筆が用いられるようになって、平安時代につくられた歌集の冊子や巻子が切り離され、古筆切として珍重された。これら古筆切を系統的に、より利便に鑑賞しようと考案されたのが手鑑であった。この風習は江戸時代初期に最盛期を迎え、有力な公卿・大名家に伝わるものをはじめ、数多くの古筆手鑑がつくられた。「翰墨城」(MOA美術館蔵)・「藻塩草」(京都国立博物館蔵)・「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)・「大手鑑」(陽明文庫蔵)は、その代表的遺例。この手鑑「武蔵野」は、現代に入り、古筆愛好の風潮の中、数寄者の蒐集した古筆切(うち写経切6葉)、とくに名物切と呼ばれる希少の名品19葉を含む、全25葉が貼り込まれている。(写真は蝶鳥下絵法華経巻第五断簡・平安時代・11世紀)
江戸時代以来、古写本の断簡である古筆切を貼り込んだ「古筆手鑑」が無数に作られたが、近代には、加賀前田家の『野辺のみどり』のような最優品のみの手鑑も作製されている。この『武蔵野』もその1つで、外題と箱書は高名な書家で古筆のコレクターでもあった飯島春敬(1906–66)の筆である。鳳凰・牡丹丸文錦の表紙に揚羽蝶の角金具の手鑑帖に貼られた26葉は、天平写経類や鎌倉期の図像抄の他は、ほぼ平安の和歌関係の切で占められている。伝小野道風(894–966)「本阿弥切(古今集)」・伝紀貫之(?–945)「名家家集切(興風集)」・伝藤原行成(972–1027)「法輪寺切(和漢朗詠集)」・同「和泉式部集切」・伝藤原定頼(995–1045)「大江切(古今集)」・藤原基俊(1060–1142)筆「多賀切(和漢朗詠集)」・藤原俊成(1114–1204)筆「了佐切(古今集)」・伝藤原雅経(1170–1221)筆(実は藤原教長(1109–?)筆)「今城切(古今集)」・伝寂然(生没年不詳)筆「村雲切(貫之集)」など、美術的な価値はもとより、筆跡や料紙の研究上も貴重な学術資料にもなるものばかりなのである。(佐々木)
文字景 —— センチュリー赤尾コレクションの名品にみる文と象」展(2021.4 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- The Album of Exemplary Calligraphy Musashino
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1帖
- 付属品
- 思文閣封筒、書芸文化院鑑定証、東博書類2通、紙札(大)4枚、紙札(小)1枚、五島美術館の札1枚
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
初期ローンチ時は、Google Cloud の Vision APIを利用して、各オブジェクトの画像を解析し、自動的にキーワードを付与しています。