拾得図
- 人物
-
作者伝胡直夫賛者慵衲吟勤
- 年代
-
制作年 AD14
- タイトル
- ジットクズ
- 寸法
- 88.8×28.2
- 材質・技法・形状
- 紙本墨書
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- ミュージアム・コモンズ キャンパス 三田
寒山(かんざん)と拾得(じっとく)は、唐代末のころ(9世紀末)、天台山国清寺(こくせいじ)の豊干(ぶかん)禅師に師事した隠者として知られる。寒山は文殊菩薩、拾得は普賢菩薩の化身と伝えられる。さまざまな説話の流布にともない、禅宗絵画の画題として好まれた。寒山は経巻を、拾得は箒を持つ姿で描かれる。両者を対幅あるいは同一画面に描くのが通例である。この一図も、もとは「寒山拾得図」として双幅で制作されたものであったが、寒山図の方は失われ、拾得図のみが残ったもの。蓬髪(ほうはつ)に破れ衣をまとった拾得の飄逸な姿を、水墨画独特の筆のタッチで描く。画の筆者を胡直夫(こちょくふ)と伝える。『君台観左右帳記』(くんたいかんそうちょうき・16世紀初成立。室町時代に将来された中国絵画の画家と作品目録および座敷飾りの秘伝書)には、「元」の部に登場する画家。わが国には、胡直夫筆と伝承する作品は、これを含めて数点伝存する。しかし、いずれも印章・署名はなく単なる伝承作品である。一方、賛を加えた慵衲吟勤(ようのうぎんごん)は、当時の禅宗僧侶と想像できるが、詳しい伝記は未詳。技巧的な書ではないが、禅の修行の果てにたどり到った枯淡な風趣が感ぜられる。「手舞い、足蹈む。是れ何んの儀軌(規則)ぞ。便ち、是れ普賢(菩薩)、只、地を掃うに堪えたり。慵衲(吟)勤、賛す」
手舞足蹈是何儀軌便是普賢只堪掃地慵衲勤賛(印)「」(印)「慵衲」
中国天台山国清寺の禅僧拾得は、寒山とともに、世俗の価値観に囚われない自由な精神の持ち主として、多くは寒山が巻物を、拾得が箒を持った姿で、二人一組あるいは対として描かれる。実は寒山は文殊菩薩、拾得は普賢菩薩の化身だという伝説も生まれた。本作品も元は対になっていた片方かもしれない。
胡直夫(こちょくふ)(?-?)は中国の記録に登場しない逸伝の画家。足利将軍家の所蔵した東山御物に含まれる「布袋図」(徳川美術館所蔵)の作者として伝えられるなど、日本にいくつか伝承作品がある。賛者については、五祖法演の弟子仏鑑慧懃とする江戸時代の鑑定書が付されている。
「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊─時空をかける禅のまなざし」展(2023.10 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
手舞足踏
是何儀軌
便是普賢
只堪掃地
慵衲 吟(?)勤賛
(印「 」「慵/衲」)
知らず知らず手を振り足を踏んで踊っているような姿は、どんな儀軌 (仏像の見本図像集) に基づいているのか(いやこんな姿は載っていないだろう)。でもこれこそが普賢菩薩、ただ地面を掃除するしか能がないのだが。
「常盤山文庫×慶應義塾 臥遊─時空をかける禅のまなざし」展(2023.10 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Image of Jittoku (Shide)
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1幅
- 付属品
- 玉舟宗幡添状 了意極札
来歴
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