片桐且元筆書状

- 人物
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作者片桐且元
- 年代
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制作年 AD17
- タイトル
- カタギリカツモトヒツショジョウ
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
片桐且元〈かたぎりかつもと・1556-1615〉は、桃山時代から江戸初期の大名。初名は直盛または直倫(なおみち)、小字を助作と称した。当初は浅井長政〈あさいながまさ・1545-73〉に仕えていたが、天正元年〈1573〉、近江の小谷(おだに)城落城後は豊臣秀吉に属し、同11年の賤ケ岳(しずがたけ)の戦では「七本槍」の一人として勇名を馳せた。同13年、従五位下・東市正(ひがしのいちのかみ)に叙任され豊臣姓を賜い、以後は常に秀吉に近侍、九州征伐・小田原征伐・文禄の役などの合戦に従軍、播磨国一万石を知行するに至った。関ヶ原の戦の後は、徳川家康の信任も得て摂津茨木(いばらき)城主となる。秀吉没後は、大和平群(へぐり)郡竜田を居所に、秀頼の後見として家康との交渉事にあたった。慶長19年〈1614〉8月、秀頼が秀吉追善供養のために着手した京都東山方広寺(ほうこうじ)再興にあたって且元は、その作事奉行をつとめた。が、新鋳の巨鐘に刻された銘文が家康の逆鱗に触れた。すなわち、その鐘銘中の「国家安泰」「君臣豊楽」の文言が、家康の二字を分断、豊臣を君として楽しむ意図が隠されているとの偽盲の疑念であった。鐘銘の草案者・清韓文英〈せいかんぶんえい・1568-1621〉と奉行責任者たる且元が駿府の家康に難詰された事件である。その釈明に駿府に向かった且元であったが、淀君からその行動に不審を抱かれ、大坂城を退去せざるをえないことになり、摂津茨木城に移った。やがて起こった大坂夏陣では徳川軍に合流、戦後は領地は安堵されたが、まもなく駿府にて病死した。この書状は、南禅寺金地院(こんちいん)の以心崇伝〈いしんすうでん・1569-1633〉に宛てたものである。崇伝は、慶長10年〈1605〉3月に南禅寺に入寺、同寺を復興した。相国寺の西笑承兌〈さいしょうじょうたい・1548-1608〉を通じて家康に接近、その招きをうけて駿府に赴き、その後は外交事務を掌握、公家諸法度・武家諸法度・寺院諸法度などを起草制定に中心的役割を果たし、幕藩体制の確立に貢献した。とくに、前記、方広寺の鐘銘事件にあたっては幕府側に立って、且元との交渉にも当たった。この書状については、崇伝の『本光国師(ほんこうこくし)日記』(巻第十)に「片桐市正殿霜月二日之状来。則返書遣ス」とあるものに適中する。鐘銘事件、且元の大坂城退去に深くかかわるものとして、歴史史料としても見逃せない貴重な一通である。すなわち、慶長19年11月2日の執筆、且元59歳であった。なお、文中の「伊州」は、且元と同じく讒者の汚名を着せられ大坂城を去った石川(石河とも)伊豆守貞政〈いしかわさだまさ・1575-1657〉のことである。「先度罷り上り申す刻、使者を以って申し候処に、早速伊州(石川伊豆守貞政)迄御越し忝なく存じ候。併せて少し御咳気の故、面上能わず御残り多く存じ候。早やかに御快気に候哉、申し承り度く候。我等も又、〔〕事に候て、四日〔〕には必ず〔〕申すべくと存じ候条〔〕申し入れ候。御気相能く候はば、京より人を進ずべきの旨、伊州迄御出で待ち申し候。少しも悪しく候間、御無用候べく候。随って紫野(大徳寺)の古渓(古渓宗陳)出入り之事、寺中御噯たるのやうも申すべく候。伊州へも其の趣申し候間、内々其の御心得候て下さるべく候。証口の儀は、重ねて貴庵へ申し上げられ候へと申すべく候。但し、如何候はん哉。無用と思し召し候はば、下にても申す間敷く候。何れも京より申し承るべく候。恐惶謹言。/猶々、京または寺方の儀謂われ無き事と思し召さるべく候へども、前に我等儀、古渓へ出入り申す故、右の通りに候。其の上、秀頼様より諸事仰せ付けられ候故、旁以って申す御事にて候候。以上。」
[上段]尚々京都又ハ寺方之儀無謂事と可被思召候へ共前我等儀先度罷上申刻古渓へ出入申故右之通候以使者申候処に早其上秀頼様速伊州迄御越諸事被仰付候故旁以忝存候併少御申御事にて候以上咳気故不能面上御残多存候早御快気候哉承度候我等も又御用之事候て四日 ニハ必(破損)[下段]可申と存候条申入候御気相能京より人を可進候旨伊州迄御出待申候少も悪候間御無用候へく候随而紫野古渓出入之事為寺中御噯之やうに可申候伊州へも其趣申候間内々其御心得候て可被下候証口之儀ハ重而貴あんへ被申上候へと可申候但如何候はん哉無用と思召候はゝ下ニても申間敷候何も京可申承候恐惶謹言方市正十一月二日 且元(花押) 金地院侍者御中
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- タイトル(英題)
- Letter by Katagiri Katsumoto
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- 重量と数量
-
員数 1幅
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