小野お通筆消息

- 人物
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作者小野お通
- 年代
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制作年 AD17
- タイトル
- オノノオツウヒツショウソク
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
小野お通〈「おづう」とも・1568-1631?〉は、能登守小野正秀の娘。『浄瑠璃物語』の作者に擬せられる女性。その生涯については不明ながら、非常に聡明で、詩歌・管弦・書画などに秀でた屈指の才女であったという。豊臣秀吉の側室淀君や、徳川秀忠の娘千姫(せんひめ)等に右筆として仕え、武家の婦子女の学問、手習いの師範をも務めたとも伝えられる。その書は、細太の変化に富んだ筆線と独自の造形感覚による艶麗なもので、「お通流」と呼ばれて、とくに女性の間に広く流布した。この消息は、苺(いちご)を贈られた際の礼状。文面によれば、お通は、艾(もぐさ)の調達も依頼されている。蓬(よもぎ)から作る艾を皮膚のツボにすえて焼く灸は、6世紀に渡来した東洋医学療法で、江戸時代には民間にも広く普及した。宛名の「正応さま」は誰のことであったかは特定出来ないが、あるいは淀君の侍女であったか。また、小さな文字の返し書きに「御五もじ」と見えるが、豊臣秀吉の手紙に「五さ」「五もじ」に宛てたものが現存する。「五さ」は尾張地方にのこる方言で妻女の称であり、秀吉の手紙では妻於祢(おね・後の北政所)に比定される。したがって、ここでの「御五もじ」も、豊臣家と関わりを持つお通の経歴からして、秀吉の妻女を示すものと思われる。繊細かつ鋭い用字法、大胆な略し方、お通の強い個性に起因するものと考えられるが、これが近世初頭の女性の消息に共通する、いわゆる「お通流」の原型ともいうべきものである。「文、忝く忝く思ひまいらせ候。ことに見事の苺賜びおわしまし候、御志の程、一入に眺め入りまいらせ候。御暇の隙にちと御立ち寄り、待ち入りまいらせ候。かしく。返すがえす、艾の事、いと安き御事にておわしまし候。かしく。/この者にまいらせ候。御五文字も御言伝て、数々申しまいらせ候。かしく。正応様御返事参る、申し給へ。通」
このものに返々もくさの事まいらせ候 いとやすき御事にて御五もしおはしまし候も かしく文忝/\思ひまいらせ候御ことつてかす/\申まいらせ候ことに見事のいちこかしくたひおはしまし候御心さしのほとひとしほ になかめ入まいらせ候 御ひまのすきにちと御たちよりまち入まいらせ候 かしく[封] 御返事正応さままいるつう申し給へ
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Letter by Ono-no-Otsu
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1幅
- 付属品
- 大倉汲水極め札
来歴
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
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