賢愚経巻第六断簡(大聖武)

- 人物
-
作者伝聖武天皇
- 年代
-
制作年 奈良時代(8世紀)
- タイトル
- ケングキョウダイロクダンカン(オオジョウム)
- 寸法
- 27.2×13.5
- 材質・技法・形状
- 紙本墨書
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
『賢愚経』(『賢愚因縁経』の略称。賢者愚者に関する譬喩的な説話を収める)を書写した断簡。巻第六「快目王眼施縁品第二七」の部分。桃山から江戸時代初期にかけて流行した古筆手鑑の巻頭に貼られる写経切で、古筆家により聖武天皇の筆と極められた。ふつう写経は1行17字であるが、これは12、3字で1行が構成されており、その字粒の大きいところから「大聖武」と呼ばれた。が、もとより天皇の自筆ではない。中国・北魏時代の龍門造像銘(5世紀)にみられるような、重厚な書風の影響を強く受けた、気魄に満ちた雄渾な楷書体が魅力である。料紙は、荼毘(だび)紙と呼ばれる奈良時代に特有の写経料紙。料紙一面にみられる黒・茶褐色の微細な粉末が、荼毘に付した骨の粉末にみまがうところから、その名称に荼毘の文字をあてている。しかし、この粉末は檀(まゆみ)皮の微細な塵(黒皮)であると判明した。紙の表面に胡粉を刷いて、薄墨で界を引いた荘厳料紙を用いた豪華な写経遺品である。
写経切の代表的存在が『賢愚因縁経』の断簡である「大聖武」です。古筆手鑑では最初にこれを貼る習慣があり、行数も重視され、ないものは格が低いとされました。経典は通常1行17文字ですが、これは文字が大きく12あるいは13字です。中国・北魏時代の影響の濃い雄渾な筆跡で、東大寺の大仏を建立するなど仏教を庇護した、聖武天皇にふさわしいと判断されたのでしょう。表面の小さな粒々は檀の樹皮で、釈迦の骨紛との伝承から「荼毘紙」と呼ばれます。この紙を使用した経切には、文字の大きさが異なる「中聖武」と「小聖武」もあります。5行分のこの切には古筆家初代了佐の極め札が付されており、古筆流行の初期から存在した切であったことが分かります。今でもとても人気の高い切です。(佐々木)
「書を極めるー鑑定文化と古筆家の人々」展(2022.4 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Part of Chapter 6 of Sutra of the Wise and the Foolish (Emperor Shōmu Version)
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1 幅
- 材質・技法・形状
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材質 荼毘紙(香木の粉末を漉きこみ、芳香と防虫を兼ねる)/軸は朱塗り
- 付属品
- 二重箱/極札「了佐」の極め
来歴
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