在原業平像

在原業平〈ありわらのなりひら・825-880〉は、平安時代初期の歌人。平城天皇の第1皇子阿保親王の子。歌才に恵まれ、六歌仙・三十六歌仙の一人に並び称され、『伊勢物語』の主人公としても広く知られている。この画像は、歌仙を象徴して、硯の前に置き、左手で料紙を持ち、筆を握った右手をそっと頭に添え、歌を思索中の姿に描く。ふつう、歌仙像における業平の画像は、背に弓を差した中将、あるいは武人の姿が一般的であるが、この形式は珍しい。上方には業平の略歴とその代表歌が書かれる。本図は、この賛の筆者を九条兼実〈1149-1207〉と伝えるが、いかにもその書風は、鎌倉時代に流行した兼実の父・藤原忠通を祖とする法性寺流の書法を宿している。これと同じ図様の業平像に、松下家蔵(南北朝時代。井上世外旧蔵・重要文化財)、奈良の不退寺蔵(江戸時代)が知られ、いずれもが同一原画からの写しとして伝存する。が、賛の和歌の表記においては、松下家本と不退寺本は一致するが、本図は一部字母を異にする。字間に不自然な箇所が見られ、原本に忠実に写そうとする態度が明らかである。とすると、賛については、本図が原本に近い姿ではなかろうか。絵姿においては、その技倆がやや劣ることは否めない。いずれにしても、この形式の業平像の遺品は少なく、貴重な存在である。なお、賛の「おほかたは…」の和歌は、『古今和歌集』(序・巻第十七)、および『伊勢物語』(第八十八段)に所収される業平の詠歌である。
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ライセンスなど
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グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Portrait of Ariwara no Narihira
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1幅
- 付属品
- 外箱、巻止め
来歴
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