歌仙絵(僧正遍昭)

藤原公任〈ふじわらのきんとう・996-1041〉撰になる『三十六人撰』は、当時の秀歌の規範として貴族たちの文芸の座右に重んじられた。やがて、平安時代末期・12世紀になると、これら歌人の画像を描いてその代表歌1首を書き添えた歌仙絵が生まれた。なかでも「佐竹本三十六歌仙絵巻」「上畳本三十六歌仙絵巻」が有名である。後世、歌道の流行を歌仙信仰にともなって、絵巻形式の巻子本から、各歌仙ごと色紙に貼り込んだ色紙帖が考案された。歌仙と歌が一体となったものや、歌と歌仙像を分離して左右一対に組み合わせた歌合形式の色紙帖などが作られた。いずれも、歌仙像は当時の名だたる絵師に、歌は能書の公卿に書写を依頼して制作されたものである。これは、もともと色紙帖(三十六歌仙色紙帖あるいは六歌仙色紙帖)に貼られていたもののなかから僧正遍昭の部分(絵と色紙)を1幅に仕立てたものである。僧正遍昭〈へんじょう・816-890〉は、平安前期の歌人で、六歌仙の1人に数えられる。後年、出家して仁和元年には僧正となったため、歌仙絵では法体姿に描かれる。この画像も僧綱襟の朱色の僧衣をまとい、片膝立ちの坐像に描かれる。また、「はちす葉の」の詠歌は、僧正遍昭の代表歌で、『古今和歌集』に収められる歌。金泥を刷いた上に緑青で小草花を下絵に描いた色紙に穏和な和様の筆致で書写される。寛永の三筆の1人、松花堂昭乗〈しょうかどうしょうじょう・1582-1639〉の書風によく似る。が、かれの自筆とする確証はない。「蓮葉の濁りにしまぬ心もて何かは露を玉とあざむく僧正遍昭」
僧正遍昭なにはちす葉かはの露にごりにを しまぬ玉とあざこゝろむくもて
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Portrait of Priest Henjo
物理的特性
- 重量と数量
-
員数 1幅
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