三十六歌仙絵巻

- 人物
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賛者伝冷泉為相
- 年代
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制作年 鎌倉時代中期(13世紀)
- タイトル
- サンジュウロッカセンエマキ
- 寸法
- 23.9×751.4
- 材質・技法・形状
- 紙本淡彩
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
いははしのよるのちぎりもたえぬべし小大君あくるわびしきかつらぎの神
藤原公任(996–1041)が撰じた、柿本人麻呂(生没年不詳)・紀貫之(?–945)以下平安中期までの歌人36人の秀歌150首を集めた『三十六人撰』は、秀歌の規範として重んじられ、平安末頃からの、歌人の姿にその代表歌を書き添える歌仙絵の流行と相俟って、歌合形式の「三十六歌仙絵巻」が次々に制作された。その代表例が「佐竹本」や「上畳本」であるが、それらは伝来の過程で切断されて掛軸に仕立てられており、鎌倉以前の書写で完存するのは、この絵巻のみである。白描に近い細線を活かした、淡彩の歌人像と、丸みと鋭さを併せ持つ鎌倉期特有の書風による、和歌の散し書きとの調和が見事である。各人1首の選択にはかなりのバリエーションがあり、この絵巻の組み合わせも珍しいもののようである。歌人名が小さく書き込まれているのも特殊だが、絵師の筆跡かもしれない。江戸時代の複数の鑑定家が冷泉為相(1263–1328)筆とするが、父藤原為家(1198–1275)に近い書風である。(佐々木)
文字景 —— センチュリー赤尾コレクションの名品にみる文と象」展(2021.4 慶應義塾ミュージアム・コモンズ)図録 掲載
藤原公任〈ふじわらのきんとう・996-1041〉は、柿本人麿を筆頭に、紀貫之・凡河内躬恒ら平安時代の代表的歌人36人の秀歌を集めて、それを左右に分けた歌合の形式をもつ『三十六人撰』をつくった。以来、これが当時の秀歌の規範として貴族たちの文芸の座右に重んじられた。やがて、平安時代末期・12世紀になると、これら歌人の画像を描いてその代表歌1首を書き添えた歌仙絵が生まれた。もっぱら絵巻形式の巻子本に描かれ、とりわけ13世紀中頃に作られた「佐竹本三十六歌仙絵巻」「上畳本三十六歌仙絵巻」は有名である。後世、これら古い遺品のほとんどが、各歌仙ごとに切断され、今日では「歌仙切」として鑑賞されている。この「三十六歌仙絵巻」もそうした風潮の中の所産。左右の歌人を2人ずつ向かい合わせにして、歌合の形式に描く。描写は、男性歌人の束帯姿は墨黒々と塗抹するが、狩衣・直衣、あるいは唐衣・小袿などは、淡彩に描くのが特徴である。和歌の筆者を冷泉為相〈れいぜいためすけ・1263-1328〉と伝えるが、この絵巻の書風は13世紀後半のもの。鎌倉時代の首尾完存する三十六歌仙絵巻の遺品としてきわめて価値が高い。
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Illustrated Handscroll of the Thirty-Six Immortal Poets
物理的特性
- 重量と数量
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員数 1巻
- 付属品
- ・2代畠山牛庵折紙 寛元十二年臘月下旬 ・古筆了仲折紙 正徳三年巳暦林鐘上旬 ・松本利庵添状(牛庵家来) 古筆了任添状 ・極札 狩野探幽 畠山牛庵 古筆了任 ・外題 妙法院克胤親王(了任極あり)、羽二重包製 紫風呂敷 春慶塗 二重箱 懸子あり
来歴
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
初期ローンチ時は、Google Cloud の Vision APIを利用して、各オブジェクトの画像を解析し、自動的にキーワードを付与しています。