石野基顕筆詩歌巻(琵琶行)

- 人物
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作者石野基顕
- 年代
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制作年 AD18
- タイトル
- イシノモトアキヒツシイカカン(ビワコウ)
- コレクション
- センチュリー赤尾コレクション
- 所管
- 斯道文庫 キャンパス 三田
石野基顕〈いしのもとあき・1670-1741〉は、江戸中期の公卿。持明院基時〈じみょういんもととき1635-1704〉の二男。石野家を創設、その祖となる。正徳4年〈1714〉参議、享保3年〈1718〉5月に権中納言に任ぜられるも、同年12月に辞している。持明院書道の宗家に生まれた基顕は、書道・音楽(神楽)の名手としても知られる。これは、唐の詩人・白居易〈はくきょい・772-846〉の「琵琶行」(白楽天が友人を見送った際、その舟中で琵琶を弾く女性に会い、その音色に感じ、かの女の身の上に同情、左遷の我が身のわびしさを重ね合わせて作った詩)の前半部分を、行書・草書を交えて整然と書写する。伝統的な書法をもって重厚かつ温和な筆致はかれの能書を証明する。基顕の伝存稀有なる遺墨。巻末に「ふちはらもとあきら(藤原基顕)戯書」と記すが、おそらく高貴の需めに応じて揮毫した手習手本であったと思われる。署名の姓名を仮名で書くところから、相手は女性であったか。「潯陽江頭、夜客を送る。楓葉荻花、秋瑟瑟たり。主人馬を下りて、客船に在り。酒を挙げて飲まんと欲すれば、管絃無し。酔いて歓を成さず、惨として将に別れんとす。別時茫茫として、江月を浸す。忽ち聞く水上琵琶の声。主人帰るを忘れ客発せず。声を尋ねて暗に問う、弾ずる者は誰ぞ、と。琵琶の声停んで語らんと欲する遅し。船を移して相近づき邀へて相見る。酒を添え灯を囘して重ねて宴を開く。千呼万喚始めて出で来る。猶琵琶を抱いて半ば面を遮る。軸を転じ絃を撥って三兩声。未だ曲調を成さざるに先ず情有り。絃絃掩抑して声声思う。平生志を得ざるを訴うるに似たり。眉を低れ手に信せて続続弾じ、説き尽す心中無限の事。軽く攏え慢く撚りて撥って復た挑ぐ。初は霓裳を為し、後には六幺。大絃は嘈々として急雨の如く、小絃は切々として私語の如し。嘈々切々錯雑して弾ずれば、大珠小珠玉盤に落つ。間関たる鶯語花底に滑かに、幽咽せる泉流、水灘を下る。水泉冷渋、絃凝絶す。凝絶して通ぜず声暫く歇む。藤原基顕、戯に書す。」
琵琶行潯陽江頭夜送客楓葉荻花秋瑟瑟主人下馬客在船挙酒欲飲無管絃酔不成歓惨将別別時茫茫江浸月忽聞水上琵琶声主人忘帰客不発尋声暗問弾者誰琵琶声停欲語遅移船相近邀相見添酒囘灯重開宴千呼
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
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オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Chinese Poem “Travel with Biwa” Scroll by Ishino Motoaki
物理的特性
- 重量と数量
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員数 1巻
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