デジデリウス・エラスムス『平和の訴え』(バーゼル、1517年)

活字に見るルネサンス人文主義
本書はルネサンスの大知識人デジデリウス・エラスムス(d. 1536)が著した『平和の訴え』の初版である。擬人化された「平和の神」の口を通して、エラスムスによる独自の平和論が展開する。学匠印刷家ヨハン・フローベン(c. 1460–1527)が出版した。フローベンはバーゼルを拠点にヨーロッパ最大級の印刷業を展開した。当初はゴシック体活字を用いて印刷していたが、アルドのイタリック体の影響を受けるようになる。1513年、イタリック体活字を用いてエラスムスの『格言集』(Adagia)を刊行すると、これを契機にヒューマニストの著作の印刷に本格的に取り組み始めた。なかでもエラスムスの著作を多く出版している。またドイツ語圏でのローマン体活字の普及にも大きく貢献した。本書も壮麗なローマン体で印刷され、画家ハンス・ホルバイン(子)(Hans Holbein the Younger, 1497/8–1543)がデザインした木版ボーダーやイニシャルと見事に調和する。慶應が所蔵するのは一部を抜粋して再製本したもので、出版時はエラスムスやルキアヌスらの著作を集めた600ページを超す作品集であった(VD16 E 3488; Sebastiani, no. 68)。 (ST)
4o: 36 leaves only; the Keio copy contains Querela pacis (a-h4, i6) only, lacking g4 and i6. A full edition contains other works of Erasmus and Lucianus (of Samosata), consisting of [2]ff., 642pp. 200 × 148 mm. VD16 E 3488; USTC 6089404.
オブジェクトの概要
ライセンスなど
所管・分類など
グループのオブジェクト
OPEN DATADESIGN
Keio Object Hub では、データのオープン化を進めるだけではなく、オープン・データを活用してどのような体験がデザインできるか、さまざまな試みを行っています。
オブジェクトの詳細
識別情報
- タイトル(英題)
- Desiderius Erasmus. Querela pacis undique gentium eiectae profligataeque. Basel: Johann Froben, 1517.
Keio Object Hubでは、試験的な取り組みとして、AI(機械学習)を用いてキーワードを付与し、検索やフィルタリングに使用しています(AIサジェスト)。
初期ローンチ時は、Google Cloud の Vision APIを利用して、各オブジェクトの画像を解析し、自動的にキーワードを付与しています。